HOW DSSC WORKS
色素増感太陽電池の
仕組み
HOW DSSC WORKS 色素増感太陽電池(DSSC)とは
小さな光エネルギーによる次世代の環境発電として登場
東日本大震災にともなう原発事故以降、クリーンで再生可能な太陽光発電がクローズアップされるようになりました。その勢いは止まらず、現在もエネルギー問題や温室効果ガス削減の対策として注目を集めています。従来は太陽光を用いた外環境での発電が主な方法でしたが、さらに室内の環境下でも発電が可能な仕組みが開発されました。SDGsへの意識の高まりもあり、エネルギーハーベスティングの観点からエネルギー資源を無駄にしないための動きとして昨今取り入れられています。
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色素増感太陽電池は、インクなどの塗料を使用した新しいタイプの太陽電池です。既存の太陽電池の原料とは大きく異なり、「色素」という要素を用いることで発電を可能にします。電気を通す透明なガラスに色素(インク等の着色物質)を吸収した酸化チタン膜、電解質を挟むだけの非常に簡単な構造、シリコン不要でヨウ素溶液を介した電気化学的なセル構造を持っているため、光吸収効率を増大させるという大きな特徴が挙げられます。また、材料が安価なため、製造におけるコストを抑えることが可能です。
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また色素増感太陽電池は、様々な色の色素を利用できるためデザイン性の高い電池を製造できるだけではなく、低照度でも発電できます。既存のシリコン太陽電池の用途に加え、内部センサーや意匠性の高いインテリアなどにも活用可能。色素増感太陽電池実用化にはさらなるコスト削減などが求められています。どこまで製品を安価に製造できるかはプロセスの設計が重要です。オープン環境でディスペンサを用いた注液(滴下)するプロセスにより、厳密な電解液の注入プロセスを省略し大量生産可能、コスト削減ができます。
DSSCの利用照度範囲
現場環境の条件により、照度は大きく異なります。外環境では天気、室内環境では照明の種類や空間の広さも影響があり、DSSCの照度範囲は「屋内環境」が利用可能。50lx〜1,500lxまでが最適な利用照度範囲となります。
MECHANISM 構造・動作原理
色素増感太陽電池は、電気を通す透明なガラス、色素をまとった酸化チタンナノ粒子薄膜、電解質を組み合わせて作られます。太陽からの光を色素が吸収すると電子を放出、その電子を酸化チタンが受け取って電気を作るという仕組みです。わかりやすくご説明するために一般的な色素増感太陽電池の構造・動作原理をご紹介いたします。
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Step 1
STEP 1
色素が光を吸収し電子を放出
酸化チタンに吸着している色素へ光が当たると、光エネルギーを吸収して色素がエネルギーを与えられた励起状態となり電子を放出します。
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Step 2
STEP 2
電子の移動
色素から放出された電子は酸化チタンへ注入され、透明電極へと移動し外部回路を経由して対極にまで達します。
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Step 3
STEP 3
電子が電解質へ
電解質に含まれる「三ヨウ化物イオン」が電子を受け取り「ヨウ化物イオン」へ変化します。
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Step 4
STEP 4
電子が電解質から再び色素へ
「ヨウ化物イオン」が色素へ電子を渡すと再び「三ヨウ化物イオン」へ変化します。このようなサイクルが繰り返されることで、光エネルギーを電気エネルギーに変換します。